酒ずしは、薩摩料理として、テレビなどのメディアでよく取り上げられますが、テレビ受けを狙っているのか、焼酎をただぶっかけただけのものを酒ずしとして出すところがあります。好みではありますが、これはおいしくない。これが酒ずしだと多くの方々に思われてしまうのは困ったものです。本来、酒ずしに使うお酒は、鹿児島の地酒・灰あく酒です。酒ずしは、木の芽、タケノコ、ふきが出始める初夏、五月初めが一番おいしく、私も毎年一二回は酒ずしを造りおいしくいただいています。

■母のレシピ    昭和50年5月9日:家族 3人、お客様 5人分(かるく)

<材料>
・米      1カップ   2カップ     3カップ(7人)  1.5カップ(4人)
・地酒     0.7C     1.4C       2.1C       1.05C
・塩               小 2/3弱    小 1+1/3弱 小2弱      小 1弱
・砂糖       小 2/3     小 1+1/3   小2         小1
・魚                                      200~250g    その1/2
・貝                    5~7 コ     その1/2
・かまぼこ                 200~250g    その1/2
・こがやき                 200~250g   その1/2

 

<作り方>

① 米 4.5合 (一合がゆっくり二人分になる)
水を控え気味にして、炊きあがり際に其の分だけ地酒をふりこむ。炊きあがったら拡げてすっかりさます

② 地酒(鹿児島の地酒で灰あく酒です)、塩、砂糖を次の分量で合わせ、少し時間をおき、それを2勺程度残して①のご飯に交ぜる。
・地酒 3.2合
・塩  小さじ 3弱
・砂糖 大さじ 1

③具
・魚 小さめのさしみの様にそぎ切りにしたものにうす塩
・貝  (早くつけると身が固くなるので一時間前に)
—-魚と貝は三杯酢に漬け、軽く絞って(生臭みが消える)ご飯に混ぜる
・かまぼこ
・こがやき
—-かまぼことこがやきは長めのタンザク切り
・フキ
・筍
・茸

④飾り 上から
・きんし玉子
・木の芽
・ショーガ
・ゴマ

⑤酒ずしを造ります
    
母のスケッチ画                解読するとこうなります

 

■母のレシピを基に、約60年ぶりに酒ずし桶を復活(2011年5月16日)、お米4.5合で酒ずしを作りました。

半世紀以上ぶりに取り出した酒ずし桶、タガは緩み、木と木の間は隙間だらけ。2時間位水に漬けると(昔はお風呂に漬けたそうです)、桶は水を吸ってしまります。これで桶が復活です。(塗り桶なので地酒を吸いません。普通のすし桶でやると地酒を吸ってしまいます。先人の知恵です。)酒ずしを作り終わった後、桶が生き生きと輝いて見えました。

 

ご飯と具の下ごしらえ。
ご飯は4.5合、炊きあがってからボールにとって、人肌まで冷まします。

 

 

 

 

    
鯛(薄塩して三杯酢)   赤貝(三杯酢)    ふき

 

 

たけのこ

 

      
しいたけ        かまぼこ(一度熱湯に通してざるにあける)

お米と同量の地酒。それに塩と砂糖。
少しだけ残してお米と混ぜ合わせる。
2時間ほど置き、お米が手で握れる位
ほとびたところで具とまぜ合わせる。
残した地酒は後で入れる。

 

すし桶、ご飯、具、地酒、勢ぞろい。
地酒は高砂。

 

 

 

 

ご飯-具-ご飯-具-ご飯-具 と 三段重ねします。
  
一段目       二段目      三段目

重しをして4時間、重しを軽くしてさらに2時間

おいしそうに出来上がりました。

錦糸卵、ゴマ、木の芽、ショーガをつけて盛りつけます。

お皿に盛り付けます。

できあがりです。