我が家では毎年五月前後、ふき、たけのこ、木の芽が出回る頃に何回か酒寿司を作ります。使っている寿司桶は、我が家に伝わる、もう優に五十年は経っているものです。桶には隙間ができ、タガも緩んでいるので、しばらく水につけ、桶を締めてから使っていました。
まだしばらくは酒寿司を作り続けたいので、今年、思い切ってこの酒寿司桶を修理することにしました。ところが、調べてみると鹿児島県内で修理するところが見当たりません。それに、酒寿司桶そのものを作って販売しているところもなさそうです。
そこでネットでようやく輪島の前田漆器工房さんを見つけ、修理をお願いしました。何回かのやり取り後、今年7月14日に酒寿司桶を送り、この度11月12日に修理が完成し我が家に戻ってきました。一言で言って、素晴らしい出来、感激しました。さっそく前田漆器工房さんにお礼の電話をすると、「気合を入れてやりました。桶の隙間もなく、タガもきちんと、ここまでできるのは輪島でもこの工房だけです。お客さんに喜んでもらえるのが一番です。」とのこと。

修理してできあがった酒寿司桶のすばらしさを見てください。まず、修理前の酒寿司桶です。恥ずかしながら、相当傷んでおりますね。桶の直径は 30cm くらい。側板の板と板の間には隙間、写真では良く判りませんが、タガは緩み切れかかっているところもあります。塗りは普通で剥げてるところが多々あります。




修理後のできあがりです。まるで別物、新品同様です。桶の隙間はなく、タガもきっちりと仕上がっています。酒寿司桶は琉球塗りが一般のようですが、これは輪島塗の逸品、大名家の酒寿司桶といってもいいでしょう。あと50年は使えそうです。来年の酒寿司の季節が待ち遠しい。




この酒寿司桶、立派な箱には入っていて、我が家のお宝になりました。